陽より陰が大切

11.jpg
老荘思想の中に”陽より陰が大切”という言葉がある。
それは「目に見えるものより、見えないもののほうが大切である」という意味である。
あるコラムで一流のリーダーとは、部下の意欲を高め、彼らが自ら率先して仕事にとりかかるように指導する陰になれる存在という内容が記載されていた。
褒める、支える、そして何かあれば”責任はとる”、上に立つものはこれに尽きるのだろうか。
肝に銘じて取り組みたい。

”陽より陰が大切”
これは写真の世界でも言えると思う。
カメラを始めたころは綺麗なものや明るいものだけを撮っていたが、序々に撮りたいものだけを撮るのでなく、人や何か違ったものを写真に入れて撮ると写真の印象が変わることがわかってくる。
また、序々に陰影の効いた写真を好むようになった。
写真は奥が深く、楽しい。何事も十年はかかるのだろうか。そういう思いで取り組みたい。

IMG_8446.jpg
最近、注目している"factelier"
シャツ等をオリジナル製品として販売するネットショップ。
日本の衣服の技術は世界の中でも特出しているらしい。
GIORGIO ARMANIが採用した福島県川俣の絹織物。パリオペラ座バレエ団の衣装に、CHRISTIAN LACROIXが採用した石川県のオーガンジー。Jean Paul Gaultierのドレスの生産は岩手県。しかし、長引く不況と円高、何より低コスト化が進んだ結果、国内市場におけるアパレル品の国産比率は1990年からの10年で50.1%から4.5%まで減少。およそ20年にわたり、マイナス成長を続けているのが「メイド・イン・ジャパン」の衣服です。

この状況を変えるべく立ち上がったのは、1917年創業の婦人服店の息子として熊本で生まれ、日本製の上質な商品に囲まれて育った山田敏夫さん。商社や卸などの中間業者を通さず、工場と提携しオリジナル商品を製作し、ネットで販売するサービス「Factelier(ファクトリエ)」を立ち上げている。

若い頃に、フランスGUCCIの販売スタッフとしてもアルバイトで働いている。その時の印象が面白い。接客するスタッフは客を選ぶというのだ。彼らは自分たちのブランドをリスペクトしていて容易に買わせようとしない。傲慢にも映る光景だったが、日本の一般的なお店は、客の要望になんでも応えるような対応を取る。自信がなければ出来ないことだ。
下手に出ることは価値を下げてしまうことにも繋がる。ブランドに自信があれば、安売りせず高く売ることが、ブランドイメージをを高める要素になる。
それには、自社のブランドがどれだけ他社より優れているのかをしっかり把握し、しっかりユーザーにアピール出来なければならないだろうが。

factelierは、自らの利益率や、工場側の利益率迄公表している。1万円のものは、製造原価5,000円、利益は工場とfactelierで折半。一般的に流通しているものは1万円のものであれば製造原価は1,500円程のようだ。だから製品品質が違うと説明している。
彼の衣服の日本技術は世界の中でも特出する技術が多く、残さなければならないし日本のブランドとして世界に広げていかなければならないという信念に対しては今後も応援していきたい。

彼のコメントの中で強く共感したところがある。
”「メイド・イン・ジャパン」は、日本人を表すものだと思うんですよ。日本人の一つのことに集中・追求できる真面目さ、というんでしょうか。シャツの技術を追求してきたことでその技術がどんどん際立つものになっていく。”

日本人の一つのことに集中・追求する真面目さは、世界に良いものを作り出すことのできる特性であると思う。強く自信を持つべきであることに違いない。