三脚購入時のポイント

IMG_0901.jpg
何年もカメラアクセサリー関係に携わっていますが、三脚購入は難しい案件です。
カメラを初めた当初は初心者でもハイアマチュアを目指すのであれば最初からハイアマチュア用の三脚を持つことを薦めます。カメラを趣味とするのであれば、近々のことではなく先のことを見通して買わなければならないのが三脚だと思われます。
カメラでもそうだがフルサイズを使用していればそれだけ伸び代が違います。ミラーレスには限界があるというのが持論です。三脚も同様のことが言えます。

IMG_6224.jpg
先日も撮影スポットで、隣の人がNikon D810にプラスティック三脚を使用していた。
少し彼と話したところ、店頭で大々的に人気商品として宣伝されていたから購入したとのことだ。
カメラアクセサリーの中でも三脚に関しては、趣味としてどうカメラを扱っていくかの方向性をまず決めてそれから三脚購入を検討することが必要です。

IMG_6228.jpg
量販店に行けば、黒山のように三脚が乱立しています。その中からどの製品を選ぶかというのは至難の業のように思えますが、一つ一つ要点箇所をチェックすることで最終的に行き着く三脚が決定していきます。

✩ポイント
○ハンドルタイプ雲台?ハンドルのない雲台?
○脚の太さは?
○材料で気をつけなければならないことは?
○3段?4段?
○レバータイプ?ナットタイプ?

IMG_6207.jpg
まず、最初に考えなければならないのがどこで使うかになります。
オールマイティーな三脚を求めるかスタジオ専用、接写専用となるかでは異なります。
初心者からハイアマチュアのほぼ95%は、オールマイティーな三脚を求めることからオールマイティーな三脚購入に関してということで的を絞ります。

DSC01035.jpg
上記写真はCanon 70-200mm f2.8です。
ハイアマチュアになると揃えるレンズもしくは70-300mm、70-200 f4、最近ではシグマ、タムロンから発売された150-600mm等が人気のアイテムです。ここまででなくても半額程の望遠レンズを揃えることを考えても望遠レンズを使用する際に三脚の効果が発揮されます。
望遠レンズを使用するようになると、今までの三脚では物足りなくなり、もう一度三脚を購入する人がいるようです。兎に角三脚は安いものから購入していくような対応をするとかなりの量の三脚購入となってしまいます。

IMG_6247.jpg

eweww.jpg

IMG_6249.jpg

IMG_6257.jpg
上の4点の写真はCanon 70-200mm f2.8のレンズを使用したものです。
撮影する際に、70mm-200mm程の望遠を使う場合には、構図決め、水平出し、狙いたいものをどの位置に配置するのか等を考えてカメラを微妙に動かしながら作業します。
その際にはハンドルタイプの雲台がかなり有用であり、それ以外は使いたくなくなります。
巷では、”軽い”・”容易にセッティング出来る!”というフレコミから自由雲台タイプが売れているようですが、これはあくまでも携帯重視の撮影時の場合であって、真面目に撮る場合には使いづらい雲台です。撮影のスタイルがわかってきて、携帯重視の三脚を持ち運ぶというのは一般的でメインの三脚としては使うものではありません。

次に風景、夜景は20秒以上露出撮影する場合があります。その際にもしっかりブレずに撮影出来なければなりません。20秒間の間ブレずに撮影するというのは三脚が如何に精密機器でなくてはならないかということが分かります。ここで気をつけなければならないのは、最近中国メーカーで多く発売されている三脚本体箇所がアルミの削り出しで材料を抑えて軽量化しているタイプです。持ち運びには便利です。しかしブレます。また中国メーカーのカーボンは柔いです。20秒程の露出にはブレがあることがあります。
dsf.jpg
上記の写真を隣で撮った友人は20秒程の露出で本体がアルミ削り出しの軽量タイプで撮影したところかなりブレるようで使えないと嘆いていました。
”美人には気をつけた方がいい??”
購買意欲を掻き立てるようなフレーズ、三脚の場合であれば”軽い!”、”安い!”には気をつけた方がいいようです。材料の使用量が少ない、カーボンでも廉価版は幾らでもあるのでブランドものが品質的には安心です。一番気になるのは、中国ブランドが発売した角型フィルターを全て捨てた経験から中国メーカーのものはやめた方がいいと思います。カメラが好きでそのようなものを作っている会社は少ないように思われます。実用性にかけていても、見た目の安さを売りに勝負しているところがほぼ全てのように思えます。

DSC01038.jpg
材料は”出来るだけ豊富に使用して、安定性を保持する!”というのが三脚の機能上ので最も重要なことになります。
今でもジュラルミンを使用しているハスキーの三脚は特出して良いものでありますが、これは非常に重たいこともありスタジオ用、車の移動が多く、撮影時に振動の影響が受けやすく鉄道写真が中心のカメラマン用となりそうです。現在では材料体積は変えず、マグネシウム合金を使用し軽量化を図っている三脚が最も万能的と言えます。その次はアルミの三脚となります。プラスティック部品が多数組み込まれている製品は対象外となります。これはプラスティックの特性として柔いことから撮影時のブレの原因となります。

DSC01036.jpg
ナットタイプかレバータイプかということは、断然ナット式が選ばれている。その理由はレバー式は緩む可能性があり、緩んだ場合に工具がないと締め付けることが出来ず撮影中のブレの原因となるためである。
またナットであれば増し締めのような形で強く締め付けることが可能であり、ハイアマチュアの多くが選んでいる。
またベルボン等が採用しているダイレクトコンタクトタイプ(レバーがなく脚を回して固定するタイプ)は、撮影時間が長い場合や風景写真のような高低を微調整するようなことが多い場合はオススメ出来ない三脚のようだ。先日一緒に撮影に行った友人はこのタイプを持って一日中風景写真を撮っていたところ、手の皮が赤くなってしまい少し痛いと訴えていた、そして高低の微調整にファインダーから一度目を離し、微調整をしなければならない場合があることから長時間撮影にはオススメできない。
上の写真のような、脚に目盛りが入っているものは高低調整時に役立つため、出来るだけ目盛りの入っているものを選んだ方がいいです。

DSC01039.jpg
脚径は28mm以上を購入することをオススメします。特に上の写真のように望遠レンズを付ける場合には25mm以下ですとブレることがあります。よくカタログ等に耐荷重という記載がありますがあれは、あまり参考になりません。メーカー毎の独自の測定方法であり、撓みのひどい中国メーカーでも同等脚径で日本メーカーの3倍程の数字を記載しているメーカーもあります。
段数に関しては、3段がオススメです。1日、2日と撮影がある場合は、固定箇所の少ない3段の方が圧倒的に素早くセッティング出来ることと最終脚(一番細い脚)が3段の方が太いことで安定性があるからです。
”素早くセッティング”というフレーズは大して重みのないような言葉にも思えますが、レンズの交換、カメラ設定の変更、構図の変更等、写真を撮る際に多くの作業がある中で三脚の高低調整にはなるべく時間をかけたくないものです。また、大したことがないと思っても2日間程の撮影がある場合、数十回と脚の伸縮を行うこともあることからボディーブローのように効いてきます。

また、望遠レンズと標準系のレンズを持ち運ぶ場合には、上の写真のようにクイックシュープレートを望遠側にも装着して持ち運ぶとスムーズに装着変更が出来ます。

IMG_6241.jpg
一つ注意しなければならないのは海外に持ち運ぶ際です。この場合は雲台がついていると60cm以上になってしまうので雲台は取り外し、雲台はバックに入れ、雲台無しの三脚をバックに取り付けての機内持ち込みをするようなスタイルもしくは預ける方のキャリーバックに入れるかということになる。

IMG_6132.jpg
最終的なオススメポイントは、28mm脚径、ハンドルタイプの雲台、3段式となります。
ちょっと収納サイズが長すぎる、重いという方、特に女性でも、どんなに妥協しても上記のようなスタイルで撮影する場合は28mm脚径、4段三脚が推奨出来るものだと思います。
仕様、価格等のバランスからみて、一番のオススメはベルボン Geo Carmagne N635Mです。
20秒以上の露出にある程度ブレず、長年使用することが出来る製品として上記の製品を選びました。
流行り廃りはあっても、いい三脚は永久的です。三脚は精密機器と捉えた方がいいほどの代物と私は考えています。