心を込めて

抜粋記事
引用先『ビジネスマン必読!1日3分で身につけるMBA講座』

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『技に心を込めなさい。』


先週、出勤前に何気にテレビを見ていると、母乳外来専門の助産院を経営する女医のドキュメンタリーを放送していました。

母乳が出ないと悩む母親がひっきりなしに訪れるこの医院で、先生の手慣れたマッサージが施されると、母親たちはそれまでの悩みが嘘のように解消して笑顔で医院を後にします。

ただ、この先生はかなり高齢ということもあり、若い女助産師にマッサージの方法を教えるなど、後進の育成にも力を入れています。

ところが、若い助産師はなかなかうまくマッサージができないんですね。

そこで先生がアドバイスしたのがマッサージ云々よりも「技に心を込めなさい」のひとこと。

患者の方も「先生とは全然感情の込め方が違う」とフィードバックを行います。

これは助産院でのワンシーンですが、私達の仕事においても同じことが言えるのではないでしょうか。

私達は日々仕事を行っていますが、果たしてどれだけの人が「仕事に心を込めている」と言えるでしょうか。

たとえば、私はかつて銀行に勤めていましたが、銀行では仕事柄取引先に対して私情を挟むことは厳禁なので、皆粛々と業務を遂行します。結果として、誰が担当になろうが取引先にとっては同じことで、表現は良くないですが、俗に言う“組織の歯車”となります。そして、銀行員は2、3年大きなミスもなく勤め上げれば、次の支店へと転勤してまた同じことを繰り返すのです。

私自身も組織の歯車として淡々と仕事をこなしてきましたが、新規開拓の担当をしていた時はちょっと違う経験をしました。

当時、私はお客様のために本部に融資の直談判に行くなど、心を込めてお客様の立場に立った仕事をしていたのです。

そうするとどういうことが起こったでしょう?

転勤の際に「安部さんが担当でよかった。」とか、「安部さんでなければ取引を止める。」とまでおっしゃっていただけるお客様が現れたのです。それまではお世辞でもこのような言葉をいただくことが少なかったので正直驚きました。そして、このお客様からいただいた言葉は銀行からボーナスをもらうよりも嬉しかったことを今でも思い出します。

現状ビジネスパーソンは生き残ることさえ厳しい激しい競争の中に投げ込まれています。この厳しい環境の中で生き残るためには上司やお客様など周りの人から高く評価してもらう必要があります。

そこで、周りの人から高い評価をしてもらうために私達が大切にしなければいけないのが『仕事に心を込める』ということなのではないでしょうか。

心を込めて仕事をすれば、他人との激しい競争から解き放たれ、“オンリーワン”の存在となることができます。あなたがいるから、物事がうまく運んだと感謝される存在になるということです。

助産院での患者が先生と見習いの心の込め方の違いに簡単に気付いたように、私達の上司や取引先なども私達の仕事に対する心の込め方に敏感に気付くはずです。

そう考えると、周りの多くの人からの支持を得て“オンリーワン”の仕事をするためにも、今一度自分の仕事に対する“心の込め方”をチェックする必要があるのではないでしょうか。