三脚購入を間違えないためのオススメ三脚

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何年もカメラアクセサリー関係に携わっており、三脚購入は難しいなと感じる。
カメラを始めた当初とハイアマチュアでは、選択するものが異なる点もある。
”目標を先に決めて、本は結論から読め!”なんていうビジネス書もありますが、三脚はまさにそれに近い。

写真の魅力に取り付かれてステップアップされていくという方も多いと思われる。
そういう場合は、三脚のステップアップという形になっていくのは確かです。
ただ、やはりいいカメラ、レンズ、三脚は一生ものです。

それはレンズでもカメラでも同じことであって、少しずつステップアップするという方法もありますが、最終目標が真面目に本格的な写真を撮りたいということであれば、最初からハイアマチュア用の三脚を持つことが最も上達が早く、最も費用がかからないということになりそうです。

上達に関しても、カメラがフルサイズタイプを使用していればそれだけ伸び代があります。カメラ側のサポートが大きいということと未知の世界を体験させてくれるのが高級カメラだと思います。ミラーレスには限界があるというのが持論です。三脚も同様のことが言えます。

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先日も撮影スポットで、隣の人がNikon D810にプラスティック三脚を使用していました。
少し彼と話したところ、店頭で大々的に人気商品として宣伝されていたから購入したとのことだ。
量販店に行けば、黒山のように三脚が乱立しています。その中からどの製品を選ぶかというのは至難の業のように思えますが、一つ一つ要点箇所をチェックすることで最終的にいい三脚に行き着きます。

✩ポイント
?撮影スタイルは?
?何を撮る?
?ハンドルタイプ雲台?ハンドルのない雲台?
?材料で気をつけなければならないことは?
?脚の太さは?
?3段?4段?5段?
?レバータイプ?ナットタイプ?レバーの無いタイプ?
?撮影時間

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?撮影スタイル
車で移動なのか、トレッキング重視なのか、会社帰りに撮影する場合等では、持ち運ぶ三脚が異なります。
どんな状況で撮影をするかを考えながら選択肢を絞っていくという作業が必要になります。

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?なにを撮る?
これによって三脚の重要度が変わってきます。
夜景、星空、朝日を撮る場合は露出時間が長いため、しっかりしたものでなければなりませんし、マクロ撮影やスナップ撮影であれば構図決めのための三脚ということでシャッタースピードはある程度早いことからそれ程しっかりした三脚でなくても対応可能です。

上記写真はCanon 70-200mm f2.8です。
カメラを少し使いこなしてくると、望遠レンズが欲しくなります。望遠レンズはやはり重たいです。
ここで初心者用の三脚を購入されてしまった方は、ステップアップが必要になってしまいます。
”なんでブレるんだろう”となれば、三脚が華奢すぎるということになります。

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上の4点の写真はCanon 70-200mm f2.8のレンズを使用したものです。

?ハンドルパイプ?自由雲台タイプ?
撮影する際に、70mm-200mm程の望遠を使う場合には、構図決め、水平出し、狙いたいものをどの位置に配置するのか等を考えてカメラを微妙に動かしながら作業します。その際にはハンドルタイプの雲台がかなり有用であります。
特に望遠レンズでの撮影では、機材が重たいことから自由雲台での構図調整は、時間がかかることもあります。
しっかり水平出し、構図決め、ゆっくり撮影対応が出来るとなるとハンドルタイプに軍配が上がります。
ただ、重量があるというのは弱点です。
スナップ写真等は、写真のキレ(構図、ピント、水平垂直)のようながあるものはほとんど三脚を使用しているはずです。70-200mmクラスを手持ちでピントをバッチリ合わせて撮るのはかなり難しいです。

巷では、”軽い”、”お買い得”というフレコミから自由雲台小型三脚が売れているようですが、あくまでも携帯重視の撮影時の場合であって、真面目に撮る場合には使いづらいものです。撮影のスタイルがわかってきて携帯重視の三脚として持ち運ぶのが一般的であり、メインの三脚としては結構厳しい場合がほとんどです。

次に風景、夜景は20秒以上露出撮影する場合があります。その際にもしっかりブレずに撮影出来なければなりません。20秒間の間ブレずに撮影するというのは三脚が如何に精密機器でなくてはならないかということが分かります。ここで気をつけなければならないのは、中国メーカーに多い三脚本体箇所がアルミの削り出し加工の部品を使用し、材料を抑えて軽量化しているタイプです。持ち運びには便利です。しかしブレやすいというのが弱点です。また中国メーカーのカーボン脚は柔いものがあります。

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上記の写真を隣で撮った友人は20秒程の露出で本体がアルミ削り出しの軽量タイプで撮影したところブレるようで使えないと嘆いていました。

?材料で気をつけなければならないことは?
”甘い言葉には気をつけた方がいい”
購買意欲を掻き立てるようなフレーズ、三脚の場合であれば”軽い!”、”安い!”には気をつけた方がいいです。材料の使用量が少ない、カーボンでも廉価版は幾らでもあるのでブランドものが品質的には安心です。見た目の安さを売りに勝負しているようなメーカーの商品は気をつけた方がいいです。
そして手を出さない方が良いと思われます。

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材料は”出来るだけ豊富に使用して、安定性を保持する!”というのが三脚の機能上で最も重要なことになります。
今でもジュラルミンを使用しているハスキーの三脚は突出して良いものでありますが、非常に重たく価格は5万円以上となってしまうのではないでしょうか。スタジオ用、車の移動が多く撮影時に電車の振動を受けやすい鉄道写真を中心に撮られるカメラマン向けとなりそうです。
最近では材料体積は変えず、マグネシウム合金を使用し軽量化を図っている三脚が最も質を変えずに軽くしていると言えます。ただ部品単価は高いことから値段もそれだけします。

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?脚の太さは?
脚径は28mm以上を購入することをオススメします。特に上の写真のように望遠レンズを付ける場合には25mm以下ですとブレることがあります。よくカタログ等に耐荷重という記載がありますが、あまり参考になりません。メーカー毎の独自の測定方法であり、撓みの多い中国メーカーでも同等脚径でブランドメーカーの3倍程の数字を記載しているメーカーもあります。

?3段?4段?5段?
段数に関しては、3段がオススメです。1日、2日と撮影がある場合は、固定箇所の少ない3段の方が圧倒的に素早くセッティング出来ることと最終脚(一番細い脚)が3段の方が太いことで安定感があります。
”素早くセッティング”というフレーズは大して重みのないような言葉にも思えますが、レンズの交換、カメラ設定の変更、構図の変更等、写真を撮る際に多くの作業がある中で三脚の高低調整にはなるべく時間をかけたくないものです。また、大したことがないと思っても2日間程の撮影がある場合、数十回と脚の伸縮を行うこともあることからボディーブローのように効いてきます。

また、望遠レンズと標準系のレンズを持ち運ぶ場合には、上の写真のようにクイックシュープレートを望遠側にも装着して持ち運ぶとスムーズに装着変更が出来ます。

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?レバータイプ?ナットタイプ?レバーの無いタイプ?
ナット式が選ばれているようです。その理由はレバー式は緩む可能性があり、緩んだ場合に工具がないと締め付けることが出来ず撮影中のブレの原因となるためである。
またナットであれば増し締めのような形で強く締め付けることが可能であり、ハイアマチュアの多くが選んでいます。
またベルボン等が採用しているダイレクトコンタクトタイプ(レバーがなく脚を回して固定するタイプ)は、撮影時間が長い場合や風景写真のような高低を微調整するようなことが多い場合はオススメ出来ない三脚。高低の微調整にファインダーから一度目を離し、微調整をしなければならない場合があることから長時間撮影にはオススメできません。)
上の写真のような、脚に目盛りが入っているものは高低調整時に役立つため、出来るだけ目盛りの入っているものを選んだ方がいいです。

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一つ注意しなければならないのは海外に持ち運ぶ際です。この場合は雲台がついていると60cm以上になってしまうので雲台は取り外し、雲台はバックに入れ、雲台無しの三脚をバックに取り付けての機内持ち込みをするようなスタイルもしくは預ける方のキャリーバックに入れるかということになる。

最終的なオススメポイントは、28mm脚径、ハンドルタイプの雲台、3段式となります。
ちょっと収納サイズが長すぎる、重いという方、特に女性でも、どんなに妥協しても上記のようなスタイルで撮影する場合は28mm脚径、4段三脚が推奨出来るものだと思います。
仕様、価格等のバランスからみて、一番のオススメはベルボン Geo Carmagne N635M ?です。
価格.comの三脚満足度ランキングNo.1に輝いているように、多くのユーザーの心を掴んでいる製品である。
20秒以上の露出にある程度ブレず、長年使用することが出来る製品として上記の製品を選びました。
流行り廃りはあっても、いい三脚は永久的です。三脚は精密機器と捉えた方がいいほどの代物と私は考えています。

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本格的に撮影するのではなくて、取り敢えず持ち運ぶ携帯重視の三脚は、UTシリーズがオススメです。
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UT63Qをカメラバックに取り付けた場合
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一般的な携帯性三脚を取り付けた場合

断然に小さくなります。6段であることもあり一番太い脚はかなり太くなっており、ほぼ全てアルミ製であることも堅牢で本格的な撮影にも対応が出来ます。折りたたむと小さく、伸ばせば180cm程の人にもあるような高さ迄到達する仕様になっています。
弱点は、一般的な携帯三脚より少し重いが、三脚の本格度、伸ばした時の高さ、収納サイズは他の携帯三脚にはない次元にあります。
風景撮影等で歩く時間が長い時は、主力三脚ではなくこの携帯三脚を持っていくというのが私のスタイルです。上の写真ではありませんが、カメラ2台、レンズ5本、アクセサリー、傘、三脚等となるとカメラバックだけで10kgを超えることもあります。そのような時は、本格的でありながら携帯性の強いこの三脚を持っていきます。

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ただ、弱点は長時間同じ場所に三脚をセッティングし、高価なカメラ、レンズを載せての撮影です。
上記撮影のように、蓮に鳥が来るのを待つような撮影では、ダイレクトコンタクトタイプの脚は、脚が万が一縮むのではないかということでなかなか手を離して見守るということが出来ないところです。
じっくり長時間の撮影には、ナットタイプのロック仕様の本格派三脚を選択するということになります。

✩三脚の魅力
使わない時には、使わず、必要な時は無いとガッカリするという日常生活では”傘”のような存在でしょうか。下記に三脚の魅力を記載してみます。
?夜景、朝焼け、渓流、花火撮影等は三脚が必須です。
?構図をしっかり決められる。スナップ撮影にしても三脚を使うと撮影しやすい場合がある。
?構図を決めてのフィルターワーク、レリーズを使用しての撮影がしやすい。(下記例)
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フィルター無し
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コキン P086使用
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コキン P695使用

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三脚に取り付けてのコキンフィルター使用時の状況
?定点撮影